近視抑制治療(オルソケラトロジー)
「寝ている間に」できる近視矯正
「角膜矯正により視力を補正する治療法」という意味を持つオルソケラトロジー(Orthokeratology)は、角膜の中央部を平坦化させることで、近視を矯正するコンタクトレンズです。内側に特殊なデザインが施された高酸素透過性のハードレンズで、寝る前に装着し、寝ている間に角膜形状を平らに矯正します。翌朝レンズを外したあとも角膜形状は一定時間保たれ、日中は裸眼でも快適に過ごせます。
当院では、メニコン社の「オルソK」を取り扱っています。なお、マイオピオン点眼との併用で、近視進行予防効果がさらに上がることが期待されます。
こんな方におすすめ
- 日中、メガネやコンタクトレンズを着けたくない
- 激しい動きが必要なスポーツをしている
- レーシックなどの外科的手術に抵抗がある
- お子様の近視抑制にも効果があるとわかっています
日中は裸眼で過ごせるため、授業に集中しやすく、体育の時間やスポーツをするときも快適です。メガネを壊す、通常のコンタクトレンズのようにゴミが入る、といった心配もありません。
オルソケラトロジーの使用上の注意
- 慣れるまでは時間が必要です。また、裸眼視力が安定するまでには1週間程度かかります(個人差あり)。
- 使用前に正確な視力検査を行うため、現在コンタクトレンズを使用されている場合は、ソフトなら1日以上、ハードなら3日以上装用を中止してください。
- オルソケラトロジーは自費診療のため、医療費控除の対象外です。
- メガネやコンタクトレンズのように、1.0以上の視力が確実に得られない場合があります。あくまで、日常生活において裸眼で過ごせることが最低限の目標となります。
- 間違ったレンズケアにより重篤な角膜感染症を起こす場合があり、その結果視力が下がる可能性があります。毎日の正しいレンズケアが必須となります。
- 定期的な視力などの検査と眼の診察、レンズの汚れや傷のチェックが必要です。
- 汚れ・傷などのレンズ劣化が起こるため、1~3年に1回交換することをおすすめします。
- 見え方に変化があった、異常な痛みや違和感が生じた場合は、レンズの使用を中止してすぐに眼科で受診してください。
- 初回は短時間のお試し装用と装用練習のため、約2時間ほどかかります。お時間に余裕を持って、事前のご予約をお願いいたします。
その他の近視進行抑制方法①
多焦点ソフトコンタクトレンズ
一般的に中高年の老視のための遠近両用コンタクトレンズです。
最近は子どもの近視進行抑制に効果があるとわかってきており、オルソケラトロジーに比べて経済的に負担が少なく、装用感がいい点などが特徴。自己管理が必要なため、10歳以上が対象の目安となります。
- 特徴・注意事項
- 異物感が少なく、痛くてオルソケラトロジーが使用できないお子様も使えます。
- オルソケラトロジーの適応範囲を超えた強い近視のお子様も使えます。
- 保護者の方がレンズケアなどの衛生面について監督する必要があります。
- スポーツのときも使えますが、ゴミが入ったときなどは自分で外す必要があります。
- 乱視の強いお子様には使えません。
その他の近視進行抑制方法②
サプリメントの摂取
クリビジョンジュニアEXは、お子様への近視抑制効果が認められたサプリメントです。飲みやすいソフトカプセルで、6歳から内服できます。オルソケラトロジーの装用やマイオピン点眼が苦手なお子様におすすめです。
その他の近視進行抑制方法③
マイオピン点眼治療(自費治療)
有効成分アトロピンを低濃度で配合した点眼薬です。すでに日本で商標登録を受けており、1本で1ヶ月使い切りとなります。
0.01%および0.025%の濃度のものは、1%の濃度に比べて副作用が少なく、かつ近視の進行を抑えることが数多くの研究で示されています。使用によるアレルギー性結膜炎・皮ふ炎の発生は稀で、眼圧への変化や白内障のリスクもなく、安全性に優れた治療法となります。
- 対象・条件
- 6~12歳、-6.0D以下の近視のお子様であること
- 就寝前に点眼できること
- 定期的な通院が可能であること